企業が独自ブロックチェーンを開発するメリット

皆様こんにちは。LCNEMのエンジニア、城谷(じょうや)です。
今回は企業が独自のブロックチェーンを開発することのメリットに関してお話していきたいと思います。

独自ブロックチェーンを開発する意味

「ブロックチェーンを使う意味ってなに?」
「そもそもブロックチェーンってなに?」
「何ができるの?」

昨今では大企業を中心にブロックチェーン技術を導入する企業が増加傾向にありますが、日本全体としては上記のような疑問をお持ちの方が沢山いらっしゃると思います。

そこで、「なぜ」「今のタイミングで」独自ブロックチェーンを開発するべきなのかに関して言及していきたいと思います。

見えない第三者を排除しつつ
改ざんが困難になるから

従来のITシステムに対するブロックチェーン最大の強みは「改ざんの困難化」です。独自ブロックチェーンの開発においてはプライベートチェーン(その会社のシステムでだけ利用できるブロックチェーン)ベースであることが大半です。中にはコンソーシアムチェーン(複数の会社で共有して使うことができるブロックチェーン)を導入する企業もちらほら見受けられます。

一般的に暗号資産(仮想通貨)と呼ばれているものはパブリックチェーン(世界中の人が利用する)なので、企業にとっては情報保護の観点からプライベートチェーンが用いられます。

この場合は「やりとりを承認する役職の数名がやりとりを相互監視・透明化」することでコンプライアンスを守ることが出来ます。

安価に分散化できるから

上で書いた改ざんの困難化をどうやって実現するのかと言えば、それは「分散化」です。承認する人やシステムを単一にせず、複数にして中央サーバー中心の管理よりも改ざんを難しくするのです。

ブロックチェーンにおける分散化は従来のITシステムとは異なり、「特殊なサーバーを自前で数億円掛けて作る」といったコストが掛からないものです。

「ブロックチェーンを利用できるシステム」さえ作ってしまえば、あとは中身であるブロックチェーン本体を作ればよいのです。システム自体は従来の業務系システムの開発とは異なり、短期間かつ安価で作成可能です。

サイバー攻撃に強いから

「ブロックチェーンはサイバー攻撃に強い」です。なぜなら「取引の承認には承認者の過半数または全員の承認を得ないといけない」上に「分散化されたシステムには単一のセキュリティホール(セキュリティの弱点)が存在しない」からです。

クラッカーがもしいたとしても、攻撃するポイントがなく、何もすることが出来ないのです。可能性として考えられるのは「承認者全員のPCをウイルスに感染させる」などでリスクは0ではないですが、従来のITシステムと比較すると優位性は歴然と言えます。

現代ではビジョンの形成において、
革新的技術の存在が不可欠だから

AIやIoT、スチュワードシップ・コードやSDGs、自動運転やRPAのように、連日新聞やニュースで流れるバズワード(流行り言葉)は沢山存在します。

ではなぜ流行ったのか?それは世界中の投資家が「この概念をベースにした企業は世界の姿を変え、従来の企業より更に多くの利益をもたらすだろう」と思って投資をするからです。

古今東西の経営者における最大にして最優先の責務は「投資家から出資された資金をいかに増やして返すか」です。

経営者は「核心的な技術をベースにしたビジョンを提示して市場から資金を調達し、それを実現していくことで会社を成長させ続ける。そして株主に利益を分配する」というサイクルをひたすら回し続けなければなりません。

企業という集団を成長させるサイクルを回し続けるために、ブロックチェーンはビジョン形成に最適な革新的技術と言えます。

独自ブロックチェーンで何ができるか

承認の分散によるリスク分散

「改ざんの困難化」で少し触れましたが、ブロックチェーンにおいてはやり取りを承認する人を分散することで、改ざんやハッキングが発生するリスクを限りなく0に近づけることが出来ます。

従来のシステムでは誰かが不正を働いたとしても監視する仕組みが不十分でした。ブロックチェーン上ではあらゆるやり取りが記録されるため、不正が困難になります。

サプライチェーンの正確な管理

例えば農業であれば、ブロックチェーンに「農家の人」「流通担当者」「加工者」「販売者」「天候」「生産・流通・加工にかかったコスト」などを記録することで、「食材が口に入るまでのプロセス」を最適化出来ます。

一度刻まれたデータはずっと残るので、長く記録すればするだけ統計データとしてマーケティングに利用することが可能です。

ちなみに修正が必要なときは、承認者の合意形成を取って全員が承認すれば修正できるので問題ありません。

契約の自動化

現代日本において、契約は「対面で」「書面で」「口頭で」といったあり方がほぼ全てを占めます。しかしながら、これからは「スマートコントラクト」と呼ばれる仕組みが広まっていくと考えられています。

スマートコントラクトとは、「ブロックチェーンを元にプログラムによって自動で実行される契約」です(実際には厳密な定義はないが)。

スマートコントラクトを用いることによって、「定義→イベント発生→価値の交換→契約執行→決済」という契約の一連の流れを自動化する事が可能です。

契約・取引の証明

ブロックチェーンを用いることで、安全かつ素早く契約や取引を証明することが出来ます。例えば弊社は現在NEMというブロックチェーンの技術を主に用いていますが、その中に「アポスティーユ(Apostille)」という機能があります。

アポスティーユとは「公証」を意味しており、これは通常第三者による契約や取引の証明を表します。

アポスティーユはNEMのAPIではありませんが、「メッセージ機能を使ってファイルのハッシュ値をブロックチェーンに記録する」ことで証明を行います。

そしてアポスティーユ機能においてはブロックチェーンそのものが第三者の役割を果たすため、「第三者を必要とせず取引を証明できる」のです。

独自ブロックチェーンを使ったユースケース

金融のケース

Libra
https://libra.org/en-US/white-paper/?noredirect=en-US

最近ブロックチェーンに関するニュースで流れるものといえば、最も注目を浴びているのがこのLibraだと思われます。

LibraはFacebook社が開発したブロックチェーンで、「銀行口座を持たない人でも金融サービスを受益できるようにする」ことを発行の最大の目的にしています。世界には貧困・紛争などで信用力が不足しており、金融機関のサービスの一切を利用できない人が17億人いると推定されています。そこにアプローチしていく戦略のようです。

Libraは通貨バスケット制という複数の法定通貨と結びつく制度を取り入れており、「価格の変動が起こりにくい設計」を取り入れています。

ここが非常に重要なポイントなのですが、LCNEMが発行しているのが「ステーブルコイン」なのに対し、Libraは正確にはステーブルコインではありません

詳しくは以下の記事も参照していただけるとよりご理解いただけるかと思います。
https://inside.lcnem.com/2019/08/30/post-197/
https://inside.lcnem.com/2019/08/30/post-252/

貿易のケース

HSBC
https://www.coindeskjapan.com/19010/

題名が「HSBCが人民元建てのブロックチェーン信用状のトランザクションを実施」と金融をターゲットにしたものの様に感じられますが、メインは貿易です。

イギリスの大手金融機関であるHSBCがブロックチェーンを利用した理由は「信用状の自動化で貿易を促進していくこと」のようです。信用状とは「買い手の取引銀行が売り手に代金の支払いを確約する保証状」のことです。貿易にはこの信用状が欠かせません。なぜなら生の現金を毎回やり取りするのは手間がかかり高コストですし、非常にリスクが高いからです。

既存のシステムで信用状のやりとりに5〜10日かかるケースを、ブロックチェーンの利用によって24時間にまで減らすことが出来たので、貿易の実務に関わる時間的コストの大幅な低減に繋がることは間違いありません。

流通のケース

ウォルマート IBM
https://special.nikkeibp.co.jp/atcl/NBO/18/ibm112701/?P=2

ウォルマートは食のサプライチェーンを改革するため、IBMと連携してブロックチェーンの導入を行いました。具体的には、「中国市場における豚肉の追跡」を実験したようです。

中国では豚肉の密輸入や偽装が大きな問題となっており、消費者が安心して豚肉を食べることが出来ませんでした。そこでウォルマートとIBMはタッグを組んでブロックチェーンを導入し、「全ての豚肉に追跡コードを付ける」「畜産農家・処理業者・物流業者・小売業者などサプライチェーンを構成する全ての人たちのプロセスをチェーンに刻む」などで透明化を図りました。

その結果、豚肉の追跡にかかる時間が26時間から数秒に短縮され、問題が発覚した場合は「どのプロセスで」その問題が起こったのか明白にわかるようになりました。

LCNEMはどのような技術から
独自ブロックチェーンを開発するのか

LCNEMでは現在、NEMモザイクの機能を利用してステーブルコインの発行を行っております。(詳細は以下の弊社CEO木村のブログ「スペックの持ち腐れ」などをご覧ください)
https://yu-kimura.jp/2018/01/29/nem-mosaic/

そしてLCNEMはCosmosというブロックチェーンの技術を用いて開発も行っています。

CosmosのフレームワークであるCosmos sdkを使えば、独自のブロックチェーンを作ることができ、それをCosmosブロックチェーンの中で運用する事が可能なのです。
https://yu-kimura.jp/2019/04/19/cosmos-security/